2013年6月6日木曜日

まのまトーク④〜民間職業訓練!その1〜



今回は、職業訓練について書いてみたい。
このブログ自体が私にとって思考実験の場所となっているので、
読みづらいところがあると思いますが、ご容赦ください。


■突然「責任」を問われる高校生

私は高校生の中退予防事業に昨年度から携わっている。
中退予防と一言で言うが、もちろんこうすれば中退がなくなる、
という支援マニュアルがあるわけではない。
しかも大学と違い、学校は高校生に「サービス提供する相手=お客さん」という認識は薄い。
もしかして私立はそうかもしれないけれど、公立は学校にいてもそういう雰囲気は感じないし、
私自身の体験としても「高校は自己責任だから」と突然「責任」をつきつけられた場所として印象深い(私自身が高校をほんとに「通過点」としてしか認識してなかったのはもったいない)。

でも、高校に通う生徒はそれまで比較的自由にさせてもらっていた中学時代までと違い、
単位や出席日数という実績を求められ、その「責任」を突然背負い、非常に戸惑っている。
本当は働きたかったけれど、高校に来ている生徒もいるし、なんとなく来ている生徒もいる。

いま、彼らが「高校生」という立場を失ったら、何者なのか。
「失業者」でもない、「主婦」でもない。
いわゆる「ニート」だ。
つまり、何者でもない若者。
そのような若者が自分の課題を自覚し、「ハローワークに行こう!」とか、「若者サポートステーションに行こう!」と思うだろうか。
そこは完全にエアポケットだ。

彼らにアウトリーチできるシステムは、残念ながら現在の社会にはない。
特に、高校や中学を離れて間もない若者には。
そこで、高校生年齢の若者への職業訓練を民間で立ち上げられないだろうかと、
妄想を膨らませる。
公の職業訓練ができない、もしくはアウトリーチできない若者を対象に。


■ドイツの職業訓練学校

この発想のモデルはドイツの民間の職業訓練学校だ。
ベルリンにあるSOS職業訓練学校は、飲食、美容、マスコミ、園芸等の職業訓練を学べる学校だ。
その学校に入る経緯は、ハローワーク的なところからの紹介や学校からドロップアウトした若者が紹介や自分で見つけてつながってくる。
入学試験は確か面接がメイン。
行政から補助金が出ていて、貧困家庭の若者や移民の若者が多く利用していた。
ベルリンにあるその学校は、やはり実際に就職していく先としてサービス業が多いため、
飲食の訓練に特に力を入れていた。
実際に一般のお客さんが来店し、調理・接客に分かれて学生が訓練を受けている。
実践ももちろん重要だが、「理論」の授業があるところがおもしろい。
残念ながら「理論」の授業風景は見学できなかったが、
「理論」と「実践」の両輪が重要だとその学校長が話していた。

ポイントは職業訓練を民間の団体が行なう、というところだ。
イメージとしては専門学校に近いが、実際の社会情勢に合わせて、公ができない支援を提供している。
定期的に担任の先生と振り返りをし、適性を丁寧に確認し、コースを途中で変更することもできる。
発達障害の若者には、スモールステップを小さくしたり、振り返りを工夫したりしているそうだ。
補助金は利用者数等の実績によって変動するため、「サービス」も工夫する。
日本と違うところは、寄付金が占める割合が日本より大きい、というところだろう。

■働くために「お金」がいる日本

民間の職業訓練は、機能としては、日本の専門学校とかなり近いところがある。
しかし、日本の専門学校は「高校卒業資格」が必要であることが大半で、授業料も高い。
若者に職を、というところでは、特に貧困世帯の若者にとってはジレンマがある。
貧困ゆえに働かなくてはいけないのに、働くための知識と経験を得るために「お金」がいる社会なのだ。
もちろん、ドイツの職業訓練学校にも時代の流れが変わり難しさもあり、また日本にそのまま適用できるものだとは思っていない。

次回は、高校生の居場所「となりカフェ」でひとまずできそうな職業体験プログラムを考えてみたい。
それがいずれ、民間の職業訓練につながっていけば。。。(つじたりさ)

























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