2013年5月28日火曜日

まのまトーク③〜途方に暮れる高校生〜

前回、若者の職業訓練について書く、と予告したけれど、
少し時間が経ったので違う記事を挟みたくなった。

■通信制高校の誘惑

実は高校卒業資格について書いてみたくなったのだ。
大阪府内にもいくつかある通信制高校。
教室で授業を受ける通常の学校のスタイルではなく、自学自習が前提の学校だ。
まったく学校に行かないわけでもなく、
単位修得やテストのために「スクーリング」に参加する必要もある。
だが、全日制高校に比べれば、通学・授業の負担はかなり軽減されている。

通信制高校は中学時代に不登校になったり、高校になじめなかった生徒が通うところ、
というイメージは定着していると思う。
集団が怖い、授業のペースについていけないなど、全日制高校に3年間通学することが難しい若者もいる。
もちろん、就労していて毎日通学が難しいから通信制高校、という生徒もいるにはいるが。。。

ただ、毎日通学し授業を受ける全日制高校と通信制高校で同じ「高校卒業資格」という、
全日制高校の生徒からするとなんとも言えない状況がある。
もちろん、通信制高校を卒業することは簡単なことではない。
10代の若者の多くは、総じて自分に甘いものだ。
そうなってくると何が疑問かって、「授業」ってなんなんだろうというところだ。
全日制高校に通っていたオトナたちからすると、
「授業」に出ずになんとする、というところだが、それは今回はカッコに入れる。

そもそも、高校は義務教育ではないし、大学や専門学校への進学には意味はあるかもしれないが、
おそらく高校の学習指導要領は就職に適したカリキュラムではない。
教科学習について一定の理解に達しました、というのが高校卒業資格で、
「高等学校卒業程度認定試験」にもそれがあらわれている。

全日制高校と通信制高校や高認の矛盾は、前者は「授業」に出席しなければ単位が取得できないのに、後者はその条件がかなり緩和されている、というところだ。
これって、本当にこのままで良いのだろうか。
全日制高校を卒業して証明できるのは、ある程度の出席要件をこの生徒はクリアできました、
ということだけになってしまう。
それだったら、生活の苦しい高校生は通信制高校に通いアルバイトをする選択をする方が賢いということになる。

■高校卒業後と卒業資格のギャップ

通信制高校だろうと、全日制高校だろうと、ある一定の時間をかけて教科学習し、
その達成度を確認する、というのはまぁこのシステムを提供するオトナたちにとっては必要な行程なんだろう。
現実的には高校を卒業した人の半分が大学進学で、20%が専門学校等への進学。
とすると、残りの30%は就職と考えられる。

高校卒業資格は就職できる能力を保障するものではない。
それは、いわゆる困難校と言われる高校に通う生徒のモチベーションに、
大きな影を落とす。
通信制高校では授業を受けずに卒業できるし、
卒業したからと言って自分の生活を支える技術が身につくわけではない。
専門学校に行くだけの経済力も将来の夢もない若者は途方に暮れている。

分かっているのは、高校を離れたら(中退にしろ卒業にしろ)働かなければならない、ということ。(辻田梨紗)







0 件のコメント:

コメントを投稿